【6月2日 AFP】国連(UN)の国際民間航空機関(ICAO)は1日、新型コロナウイルス流行による運航停止から再開しつつある航空会社向けに、マスク着用、室温管理、機体消毒などを含む一連の感染対策の指針をまとめ公表した。

 ガイドラインでは出発地の空港で、乗客に健康証明書の提示と検温を求めるよう指導している。また荷物を最小限にし、機内持ち込みが可能なかばん程度とすることを推奨している。新聞や雑誌の持ち込みは禁じられ、免税品の販売も制限される。

 機内では乗客はマスクを着用し、可能な限り客室内は移動せず、最低1メートルのソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を守るべきだとしている。また他者を感染させるリスクを減らすために、使用するトイレは席ごとに指定され、トイレ前に並ぶことも避けるべきとされている。客室乗務員にはフェースシールド、手袋、マスクなど防護装備を支給される。

 ただし、物理的な距離を保つために一席ごとに空席を設けるという制限については、採算性を脅かすとして航空業界が危惧しており、ICAOでも推奨していない。

 これらの措置は指針であり、航空各社に従う義務はないが、 ICAO理事会のフィリップ・バトー(Philippe Bertoux)仏代表によると、「新型コロナウイルス危機が始まって以来初めて、この問題に関する世界的な権威となる指針」を開示すべきという幅広い合意に基づきまとめられたという。

 ICAOは今回のパンデミック(世界的な大流行)を受け、旅客機の利用客は今年末までに15億人減ると推定している。(c)AFP/Eric THOMAS