【6月3日 AFP】21世紀を決定付ける世界の二大勢力と目されている米国と中国はこれまでにも衝突や不和を繰り返してきたが、今ほど多くの重要局面で対立していることは過去に例があまりなく、米中関係の悪影響が世界中に飛び火することへの懸念が高まっている。両国が現在対立している主な分野についてまとめてみる。

■黒人男性死亡事件

 米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で警察官が非武装の黒人男性を過剰な力の行使によって死亡させた事件をきっかけに全米で抗議活動が激化する中、中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は「米国の人種的なマイノリティー(少数派)に対する人種差別は、同国の社会の慢性病だ」と記者団に語った。

 一方、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の国家安全保障顧問であるロバート・オブライエン(Robert O'Brien)氏は米ABCニュース(ABC News)で中国当局に対し、「わが国で目にしていることに喜びと慰めを見いだしている」と非難。「(是正を求めている米国人は)平和的な抗議をしたことを理由に投獄されることはない。私たちとあなた方の国とでは違う」と述べた。

■新型コロナウイルス

 米国は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって世界で最も大きな被害を受けている。トランプ氏は、中国の都市・武漢(Wuhan)で新型ウイルスの集団感染が発生した際の中国政府の対応が透明性を欠いていたと非難。一方、中国側はそうした疑惑を否定し、米国が「新たな冷戦の瀬戸際」まで緊張状態を押し進めていると警告している。

 またトランプ氏とマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は、折に触れて新型ウイルスを「チャイナ・ウイルス」「武漢ウイルス」と呼び、中国の研究施設から流出したと主張し、中国政府を激怒させている。

■貿易

 トランプ氏は長年、中国は貿易上の不公平な優遇措置を通じて米国よりも優位に立っていると主張し、怒りを示してきた。また知的財産の窃盗を抑制する対策を講じていないとして、中国政府を批判している。

 そうした中、トランプ氏は2018年初めに中国に対する貿易戦争を開始。その後、両国間の報復関税の応酬により、数千億ドル規模の2国間貿易問題に発展した。世界経済はそのあおりを受け、新型ウイルスのパンデミック以前から不穏な空気が漂っていた。

 両国は今年1月、貿易交渉をめぐる「第1段階の合意」に署名したが、貿易戦争はいまだ完全には解決していない。