【6月1日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)の象徴マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏が31日、米ミネソタ州の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さん(46)が警察による拘束後に死亡した事件について、米国の「根深い差別」を非難した。

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 フロイドさんが死亡した25日の事件に対して、スポーツ界が反応を示す中で、米国ではデモ隊による暴動や略奪も発生している。

 その中でジョーダン氏は「深く悲しみ、本当に胸が痛く、純粋に怒っている」「この国の有色人種に対する根深い差別と暴力に対し、声を上げた人たちとともに私はいる」と発表した。

 現役時代から、社会問題に関する発言は控えてきたことで有名なジョーダン氏は、「もうたくさんだ」と話している。

 フロイドさんは25日、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で白人警官に手錠をかけられ、膝で首を数分間押さえつけられて死亡した。ジョーダン氏は「平和的な手段で不正義に対する表現を続け、責任を追及していく必要がある」と話している。

 今回の事件に対しては、NBAやナショナルフットボール(NFL)などの米スポーツ界だけでなく、世界のアスリートも、米国は黒人に対する扱いを変えるべきだという声を上げている。

 NBAのアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーは31日、リーグ職員に内部メモを送り、週末に国中で起こった抗議活動を見て、怒りと悲しさを感じたと伝えている。

 米ヤフーニュース(Yahoo News)が入手して伝えたメモには、「われわれの国が傷ついていて、その傷が癒えていないことを改めて思い知らされている」「人種差別と警察による横暴、人種的な非道は、米国人の日常生活の無視できない一部であり続けている」と書かれている。

 新型コロナウイルスの影響で米プロスポーツが止まっているため、選手はそれぞれの現場で自分を表現する機会がない。そのためNBAでは、ボストン・セルティックス(Boston Celtics)のジェイレン・ブラウン(Jaylen Brown)やフィラデルフィア・セブンティシクサーズ(Philadelphia 76ers)のトビアス・ハリス(Tobias Harris)ら、多くの選手がデモに参加した。

 ジョージア州出身のブラウンは、車を15時間走らせて同州アトランタ(Atlanta)まで行き、平和的な行進を指揮した。ブラウンは「何よりもまず、僕は黒人でこのコミュニティーの一員だ」と話した。

 ロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)の指揮官で、警察官の息子でもあるドック・リバース(Doc Rivers)ヘッドコーチ(HC)は、暴動が激しくなっている中で、今後もフロイドさんの死を第一に考えることが欠かせないと話している。

「ジョージ・フロイドの死に対して、国中で今起こっている反応には、数十年に及ぶ経緯がある」「人はそこに至った流れを見ずに、反応だけを焦って判断しがちだ」「われわれは、あまりにも多くの悲劇を見過ごしてしまった。これはアフリカ系アメリカ人の問題ではない。人間の問題だ」 (c)AFP