【5月5日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)の伝説的選手であるマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏は、現役時代に政治問題を遠ざける姿勢を貫いていたことについて、自身を活動家と思ったことはないと説明した。

 ジョーダン氏は自身のキャリアを描いた米スポーツ専門チャンネルESPNのドキュメンタリーシリーズ「ラストダンス(The Last Dance)」の最新話で、政治問題とは距離を置くために「共和党員もスニーカーを買う」とはぐらかした有名なエピソードについて言及した。

 1990年に共和党のジェシー・ヘルムズ(Jesse Helms)氏と民主党のハーベイ・ガント(Harvey Gantt)が争った、米ノースカロライナ州の上院議員選挙の際に行われたこの発言について、ジョーダン氏はジョークとしてのふざけたものだったと語った。

 ヘルムズ氏は政治家人生を通じて人種差別的な立場で物議を醸した人物で、1964年に制定された公民権法(Civil Rights Act)について強硬に反対し、黒人公民権運動家マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King)牧師の誕生日を国民の祝日にすることにも異議を唱えていたことで知られている。

 ジョーダン氏は当時を振り返り、「あの発言を修正する必要があるとは思わない。なぜなら、あれはホーレス・グラント(Horace Grant)とスコッティ・ピッペン(Scottie Pippen)と一緒にバスに乗っていて、冗談で言ったことだからだ」と説明した。

「あれは非公式の発言だ。母からはハーベイ・ガント氏への支持を表明するように言われたが、私は『ねえ、母さん。自分はよく知りもしない誰かについて自ら進んで話したりしない。だけど、彼を支援するための寄付金は送るつもりだ』と話し、実際にそうした」

 ジョーダン氏はさらに、元ボクシングのヘビー級王者である故モハメド・アリ(Muhammad Ali)氏には大いに同調しつつ、自身を活動家のアスリートと考えたことはないと付け加え、「モハメド・アリが自身の信念で立ち上がったことについては確かに称賛するけれど、自分を活動家と考えたことは一度もない。ただのバスケットボール選手だと思っている」と話した。

 このドキュメンタリー番組には、バラク・オバマ(Barack Obama)前米大統領も出演しており、当時のジョーダン氏についてもっと積極的に発言するべきだったとの認識を示し、「正直に言えば、マイケルが『共和党員もスニーカーを買う』と言ったと報道されたとき、当時公民権法の分野でキャリアを積む準備をしていて、ジェシー・ヘルムスが何を支持しているのかを知っていた人は、マイケルにはもっと突っ込んだ発言をしてほしいと思っただろう」と語った。(c)AFP