【6月2日 CNS】中国の全国人民代表大会で行われた2020年政府活動報告の中で、「道端の露店商売」「道路わきの臨時市場」「屋台など移動販売」が今年の「全国文明都市評価」の指標から除外された。

 中央政府の「防疫対策の常態化に前向きに取り組みつつ、就業の促進と民生の維持により消費への国民の意欲と能力を向上させる。飲食、市場や商業施設、文化、観光など家庭生活分野のサービスを復興発展させる」という方針にのっとった措置だ。

「道端の商い」は、文明都市建設において経済と社会秩序の回復と大衆の生活のニーズを満足させる上で積極的な役割を果たすと認められた。

 専門家は「中央政府の新方針の重要な点は、『道端の商い』を国民経済と社会秩序の回復にとって一種の『けん引作用』と見ているところだ」と指摘する。

 移動販売の管理について、国家発展計画委員会産業経済・技術経済研究所の劉振中(Liu Zhenzhong)副研究員は「過去この分野の管理方式は『全国一律の厳格管理』で、屋台や露天商など底辺に属す多くの商売が廃業した。新しい方針が出た今はこの底辺の商売に一定の生きる道が示されたとも言える」と分析する。

■中低所得層に有益

 中国従業促進会の元副会長陳宇(Chen Yu)氏は「就業促進に役立つ措置は全て行うという政府方針を体現したものだ。経済を立て直すこと、生活における全ての要素に活力を求めたもの、とりわけ経済活動の最底辺に属す個人規模の商いを活性化し、柔軟に就業機会の拡大をねらうものだ」と述べる。

 先の劉副研究員は「足元の経済情勢から見て民生と就業確保が最優先だ。『道端の商い』の存続を認めたのは、中低所得階層、低技能の労働者層、失業者、農民工に大きな助けとなる政策だ。近年産業構造転換や自動化が就業に大きな影響を与えているが、これに加えてコロナ感染症の影響もある。新たな職を速やかに見つけることが困難なこれら労働者層に対し一定の余裕を与えるのは、文明都市発展の過渡期として非常に必要な措置だ」と説明する。

■管理方式は検討が必要

 国家行政学院(National Academy of Governance)の汪玉凱(Wang Yukai)教授は「『屋台経済』開放のシグナルであるが、無管理で良いと言うわけではない。境界線引きと一定のルール設定が必要だ。過去の政策は厳し過ぎで、特に大都市ほど厳しかった。『屋台経済』の秩序だった開放は、ルールを定め民衆の習慣を徐々に調整していけば、規範化は可能だ。このような商いが、環境に悪影響を与えるという理由から直ちに禁止されるべきものではない」という意見だ。

 先の劉副研究員は「屋台経済」に対し「経営を許可するボーダーライン、どんな種類の商いにどんな条件を課して許可を与えるのか、今後さらに詳細な規定が必要だ。商売する側と監督側が歩み寄った管理方式の検討が待たれる」と話している。 (c)CNS-新京報/JCM/AFPBB News