【5月27日 AFP】米ニューヨークのセントラルパーク(Central Park)で野鳥観察をしていた黒人男性に犬をリードでつなぐよう言われた白人女性が、「命の危険がある」として警察に通報する様子を映した動画が拡散し、アフリカ系米国人に対する差別だと非難する声が上がっている。

 この動画は、通報された黒人男性のクリスチャン・クーパー(Christian Cooper)さんが撮影したもので、ツイッター(Twitter)で3000万回以上視聴されている。

 25日に女性が犬を散歩させていたのはセントラルパークの野鳥観察スポットで、この周辺では犬はリードでつなぐこととされている。

 女性は犬を必死にコントロールしながらクーパーさんに近づき、携帯電話を操作しながら「アフリカ系米国人男性が私の命を危険にさらしていると通報してやる」と言い放った。

 そして女性は緊急通報番号911に電話し、「セントラルパークにアフリカ系米国人男性がいて、私を撮影し、私と犬を脅している」と説明した。

 この動画が投稿されると、この女性のことをオンラインで特権意識を持った白人女性を表す名前「カレン」と呼ぶなど、ソーシャルメディアでは怒りの声が広がった。

 ニューヨークのビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長はこの女性は「単純明白な人種差別主義者だ」と批判。「女性は男性が黒人だったから警察を呼んだのだ。規則を破っていたのはこの女性だったのに、男性の方が犯罪者だと決めつけた。これがなぜなのか私たちは分かっている。この種の憎悪はわれわれの街では許されるべきものではない」とツイッターに投稿した。

 問題の女性は資産運用会社フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)に勤務するエイミー・クーパー(Amy Cooper)さん。通報されたクリスチャン・クーパーさんと名字は同じだが、他人。

 エイミーさんは米テレビ局NBCのインタビューで謝罪をしたが、自分は脅されていると感じたため過剰反応しただけで、人種差別主義者ではないと主張した。「みなさん、特にあの男性とその家族に対して心から謝罪する」とエイミーさんは語った。

 勤務先であるフランクリン・テンプルトンは26日、調査の結果、問題の従業員を即時解雇したと明らかにした。(c)AFP