【5月25日 AFP】世界各地で24日、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」が明け、3日間にわたる祝祭「イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)」が始まった。多くの国で新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が敷かれたままだが、感染拡大の懸念があるにもかかわらず規制が緩和され、イスラム教徒たちがつかの間の解放感を味わった国もある。

 ラマダン明けを祝うイードでは、モスクで礼拝してから家族とごちそうを囲み、衣服を新調したりプレゼントや菓子を買ったりするのがイスラム教徒の伝統だ。しかし、今年は新型コロナが祝祭気分に影を落としている。

 ラマダン期間中に感染対策の規制を一部緩和した国で感染者数が急増したため、各国がロックダウンを強化。イスラム教の聖地メッカ(Mecca)とメディナ(Medina)のあるサウジアラビアは、ラマダン前と比べて感染者数が4倍以上増加し、湾岸諸国最多の7万2000人超となったことを受け、24日から5日間の終日外出禁止令を出した。

 礼拝者の姿が3月以降めっきり減ったメッカの聖モスク(Grand Mosque)では、カーバ(Kaaba)神殿を驚くほどの閑静さが包み込んでいる。24日に行われたイードの礼拝では、説教壇に立つイマーム(イスラム教の宗教指導者)と参加した信者たちの列の間に、マスク姿の治安部隊員が立って警戒に当たった。

 メッカとメディナに次ぐ第3のイスラム教聖地、中東エルサレム(Jerusalem)のアルアクサ・モスク(Al-Aqsa Mosque)でも、モスク内への立ち入りが禁止され、イードの礼拝に訪れた人々とイスラエル治安部隊との間で小競り合いが起きた。現地のAFPカメラマンによると、その後礼拝はモスクの外で行われた。

 パレスチナ自治区ガザ(Gaza)ではモスクでの礼拝が認められたが、信者たちはマスクを着用し、互いに距離を取って参加した。あるイスラム教徒は、「コロナウイルスのせいでイードがイードでなくなっている。皆は恐怖を感じている」と話した。(c)AFP/Anuj Chopra with AFP bureaus