【5月25日 CNS】マスクの転売熱が冷めやらぬ中、今度は「狂ったようなヘルメット熱」が始まった。価格が一夜のうちに数倍も跳ね上がり、ヘルメットの「先物」取引が始まった。

 あるネットユーザーは「私が買った時は29元9角(約450円)だったのに、昨日ネットショップを見たら228元(約3440円)にまで高騰していて、しかも在庫なしになっていた」という。もともと友人のために自分が使っているヘルメットと同じものを推薦しようと思ったのだが、価格が上がったばかりでなく、もともとは在庫が十分にあるはずのネットショップで半数近くの商品が在庫なしとなっていたのだ。

「ほんの少し前まで、みんなが競ってマスクを扱っていたのに、今度はヘルメットに火が付いた」――ある地方では、ヘルメット販売の動きは早い段階から始まっており、現物の商品がない状態で「先物」の販売も始まっていたという。

 買い付け代行の商売をしている董さんは「私の友人はうわさを聞いて即行動に移しました。3日間連続で夜も寝ずにヘルメットの製造業者を探し、商品を仕入れ、転売で80万元(約1200万円)稼いだ」と明かす。最近は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で海外には行けないため、SNSでヘルメットの販売を始めた。17日に仕入れた500個は、すでに売り切れたという。

 中国公安部の交通管理局は先月21日、全国を対象に「ヘルメットと安全ベルト使用に関する安全保護行動の通知」を発表。6月1日以降、交通法規の管理を強化し、バイクと電動自転車の運転者のヘルメット着用と、自動車運転手の安全ベルトの使用を厳しく取り締まるとしている。

 その後、各地で具体的な措置が相次いで発表され、江蘇省(Jiangsu)と浙江省(Zhejiang)では15日、電動自転車に関する地方管理法規を同時に発表し、運転者の安全ヘルメットの着用に関するルールを明らかにした。違反者は警告処分あるいは最高50元(約760円)の罰金を科され、7月1日から施行するとしている。

「人民公安報」によると、バイクと電動自転車の運転者の死亡事故で、死因の約80%が頭蓋骨損傷だ。ヘルメット着用により、事故によるけがを70%低減、死亡率を40%低減することができる。

 公安部交通管理局の2018年の統計によると、中国のバイク保有台数は約8700万台、2019年の中国自転車産業大会で発表されたデータを見ると、中国の電動自転車の社会保有台数は3億台近いが、路上でヘルメットを着用している運転者は非常に少ない。仮に1個50元で計算すると、100億元(約1500億円)を超えるマーケットだ。

 ヘルメット価格の上昇は、政府関係部門の注意を引いた。河北省(Hebei)、浙江省、江蘇省南通市(Nantong)などの市場監督管理部門は19日、便乗値上げなどの違法行為を厳しく取り締まる旨、相次いで発表している。(c)CNS/JCM/AFPBB News