【5月22日 AFP】英国政府は21日、医療サービスを支えるためとして外国人に支払いが義務付けられていた健康保険付加料について、医療・福祉従事者は免除すると発表した。同制度をめぐっては、新型コロナウイルスの流行を受け批判が出ていた。

 ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は20日、健康保険付加料は国民保健サービス(NHS)が必要とする資金源となっていると述べ、その必要性を主張していた。

 だが、最大野党・労働党のキア・スターマー(Keir Starmer)党首は、新型ウイルスとの闘いにおいて、非常に多くの外国人がNHSや福祉サービスの最前線で働いている今、この課税は不適切だと非難した。

 スターマー氏は、医療従事者らの業界団体「ドクターズ・アソシエーション(Doctors' Association)」からの書簡を引用し、この税金は「全員に対する言語道断の侮辱」 であると批判していた。

 首相官邸の広報官は、これからは看護補助業務を担当するポーターや清掃員を含むすべてのNHS職員と福祉従事者は、健康保険付加料が免除されると話した。

 広報官は「健康保険付加料の目的はNHSに利益をもたらし、病気の人の治療に役立て、命を救うことにある」とし、「ビザ(査証)が発給されている外国人のNHS職員や介護・福祉従事者は素晴らしい貢献をすることによって、この目的をすでに果たしている」と述べた。

 今回の外国人労働者に関する指針の変更は、直近24時間で2回目となる。

 20日には、NHSの外国人職員が新型ウイルスにより死亡した場合、職員の家族や被扶養者らが英国にとどまることができる特別方針について、介護員やポーター、清掃員も含めるべきとの批判を受け、対象が拡大されていた。

 ジョンソン氏の保守党は、同国で約3万6000人の死者が出ている新型ウイルスへの対応について、NHSに惜しみない称賛を送っている。

 一方、過去10年間にわたる予算削減で、新型ウイルス流行が発生した時点でNHSはすでに限界にあったとの批判も出ている。

 健康保険付加料は保守党により2015年に導入された。現在は年間400ポンド(約5万3000円)だが、10月には624ポンド(約8万2000円)に引き上げられる。

 現在、欧州連合(EU)加盟国の国民は支払いを免除されている。だが、今年末までとなっているブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)の移行期間後に入国する場合は支払いが求められる。(c)AFP