【5月20日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のレジェンドであるマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏にスポットライトを当て、好評を得たドキュメンタリーシリーズ「ラストダンス(The Last Dance)」について、シカゴ・ブルズ(Chicago Bulls)時代のチームメートであるホーレス・グラント(Horace Grant)氏が、ジョーダン氏は真実をゆがめていると話した。

 ジョーダン氏とともにブルズの最初の3連覇を経験したグラント氏は、米スポーツラジオのESPNラジオ(ESPN radio)のインタビューで、作品はジョーダン氏に好意的な編集の手が入っていると主張した。

「面白い作品だったが、チームメートとしてそこにいた人間からすれば、リアルさという意味では90%がでたらめだ」

「リアルじゃない。ジョーダンはいろいろなことをチームメートに言っているが、たいていは言い返されていた」「しかし反論部分は、ドキュメンタリーでは編集でカットされていた。それをドキュメンタリーと呼べるならの話だがね」

 最も我慢ならないのは、ジョーダン氏のキャリアの内幕を明かした書籍「マイケル・ジョーダン激闘のシーズン:誰も知らなかったNBAの内幕 」に関して、ネタを提供したのが主にグラント氏だとジョーダン氏が示唆していることだという。

 その説は「うそっぱちだ」と話すグラント氏は、「もしMJ(ジョーダン氏)が自分に恨みがあるなら、男として解決しようじゃないか。話し合いでもなんでもして、自分たちで解決すればいい」「それなのにあいつは今も、俺が(本の)情報源だとうそを言いふらしている」と続けた。

 グラント氏は、著者のサム・スミス(Sam Smith)氏とは「親友」だと認めた上で、「ロッカールームの神聖さ」は常に守ってきたと強調し、「私的な情報を漏らしたことは一度もない」と話した。

 批判の矛先はジョーダン氏の若手の扱いにも及び、同氏が控室で若いチームメートに手を上げ、暴言を浴びせていたとも主張している。「ラストダンス」はジョーダン氏のプロダクションも制作に関わっているが、作中にはジョーダン氏とチームメートのスティーブ・カー(Steve Kerr)氏が練習中にけんかをするシーンがある。

 グラント氏自身は、ジョーダン氏の言いなりになるのは嫌だったと話し、「俺を支配できると考えていたようだったが、残念ながらそれは考え違いだった」とコメントしている。

「何か言われてもすぐに言い返していた。だけどウィル・パデュー(Will Perdue)やスティーブ・カー、それに若手のスコット・バレル(Scott Burrell)に関しては胸が痛んだ。チームのリーダーからあんなことをされるのを見るのはね」

「練習でも選手同士がやり合うのは珍しくないし、それは分かっている。だけど思い切りパンチを浴びせたり、ああいうことをしたりするのはやり過ぎだった」 (c)AFP