コロナ流行下に「恥ずべき」無為無策、国際NGOが国連安保理を非難
このニュースをシェア
【5月20日 AFP】主要な国際非政府組織(NGO)は19日、新型コロナウイルス危機に対する国連安全保障理事会(UN Security Council)の「恥ずべき」無為無策、特に新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の中で一部紛争地域での停戦を求める決議案の採決が見送られたことを非難した。
国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は2か月前、世界各地で起きている紛争の停戦を呼び掛けた。
しかし主要な国際NGOは共同声明で、中国と米国の対立により弱体化した安保理は、紛争の停戦を求める決議案の採決に合意できなかったと指摘。
国際救済委員会(International Rescue Committee)のデービッド・ミリバンド(David Miliband)最高経営責任者(CEO)は、「新型コロナウイルスに直面しての安全保障理事会のまひ状態は恥ずべきものだ。何百万もの人々にとっても、理解し難いものだ」と述べた。
国際危機グループ(ICG)のロブ・マリー(Rob Malley)会長兼CEOは、米中両政府は、安保理での交渉を「パンデミック中の暴力削減を率直に訴える機会ではなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生源をめぐる責任の押し付け合いの機会として扱っている」と非難。米中どちらも「世界的な危機の中で、国連で指導力を発揮できるようにも、発揮しようとしているようにも見えない」と述べた。
セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)のインゲル・アッシン(Inger Ashing)事務局長は安保理について、「世界中で戦闘を停止し、最も必要とする人々に十分な支援が届くようにする歴史的な機会を手にしている」と述べた。
フランスとチュニジアが提案した、アフガニスタンやイエメンといった国々での停戦を求める決議案をめぐっては、米政府が今月8日に異議を唱えて以降、安保理での交渉が行き詰まっている。
決議案をめぐっては、米国が世界保健機関(WHO)への言及を一切拒否する一方、中国は決議案にWHOへの言及が盛り込まれない場合、拒否権を行使するとけん制している。
グテレス事務総長の広範な呼び掛けは、NGO200団体、国連加盟国193か国中約140か国に支持されている。(c)AFP