【5月18日 AFP】(更新、写真追加)フランスの俳優ミシェル・ピッコリ(Michel Piccoli)さんが死去した。94歳だった。遺族が18日、明らかにした。

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 過去半世紀で最も個性的かつ多才な役者の一人とされ、アート系作品の伝説的存在だったピッコリさんは、スペイン生まれの巨匠、ルイス・ブニュエル(Luis Bunuel)監督の『昼顔(Belle de Jour)』や『ブルジョワジーの秘かな愉(たの)しみ(The Discreet Charm of the Bourgeoisie)』などに出演した。

 またジャンリュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)監督の1963年の名作『軽蔑(Contempt)』では、ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)の相手役として強い印象を残した。

「フランス版ケイリー・グラント(Cary Grant)」とも称されたピッコリさんは、平凡そうな人物像は変えることなく、グラントさんやハリウッド(Hollywood)の他のマルチ俳優同様、ほぼどんな内容の作品にも自身を合わせることができた。

 広い額と太い眉、いたずらっぽい笑みで、女性を誘惑する男性から警察官、ギャング、ローマ法王まで容易に演じ分けた。

 ブニュエル監督の映画だけでも6作品に出演しているピッコリさんだが、 フランス版アカデミー賞(Academy Awards)と呼ばれる映画賞「セザール賞(Cesar Awards)」では、ルイ・マル(Louis Malle)監督作品『五月のミル(Milou in May)』や、ジャック・リヴェット(Jacques Rivette)監督作品『美しき諍い女(いさかいめ、La Belle Noiseuse)』などで4度ノミネートはされているものの、受賞には至っていない。

 とはいえ1980年のカンヌ映画祭(Cannes Film Festival)では、マルコ・ベロッキオ(Marco Bellocchio)監督作品で男優賞に輝いている。(c)AFP