【5月18日 AFP】(更新)世界保健機関(WHO)の年次総会が18日、史上初めてオンライン上で開幕した。総会で加盟各国は、台湾にオブザーバーの資格を与えるかどうかについて、議論を先送りすることで合意した。

 例年3週間の日程で行われる年次総会は、今回は18、19日の2日間だけに短縮された。議題はほぼ新型コロナウイルス感染症のみに集中するとみられている。同感染症により、数か月のうちに世界中で31万人超が死亡し、感染者数は470万人近くに上っている。

 ビデオ演説で開会を宣言した国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は、一部の国がWHOの勧告を無視したとして、遺憾の意を表明。

「さまざまな国がさまざまな、時に矛盾する戦略を講じてきた。われわれは皆、重い代償を払っている」と警鐘を鳴らした。

 また中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は、大流行を「制御した」後に国際社会の対応について「包括的な評価」を行うことへの支持を表明した。

 習主席は演説で、中国は「開放的で透明性があり、責任ある態度を常に保持」し、新型ウイルスに関する情報を適時共有してきたと述べた。

 その上で、国際社会の対応に関する調査は「経験を総括し、欠点を改善する」ものでなければならないとの見方を示した。

 一方でWHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、新型コロナウイルス感染症の大流行への対応を検証する独立調査をできるだけ早期に開始すると明言。

 テドロス氏は、「得られた経験と学んだ教訓とを見直し、また各国および世界全体での感染症への準備と対応の改善を目指した勧告を行っていくため、できるだけ早く適した時期に独立評価に着手するつもりだ」と述べた。

 またWHO加盟各国は台湾にオブザーバーの資格を与えるかどうかについての議論を先送りすることで合意。

 紛糾しているこの問題をめぐってはここ数日、米国などが台湾にオブザーバー資格を与えるよう圧力を強めていたが、中国はこれに断固反対している。

 加盟各国は総会冒頭、新型ウイルス感染症の流行から注意がそれないよう、台湾に関する決定は今後、年内のある時期まで延期することに満場一致で合意した。(c)AFP