【5月19日 AFP】現在のタンザニアが位置する場所を数千年前、古代人の集団が歩いた。残されたその足跡からは、古代人たちの生活が見えてくる。

 タンザニアにあるナトロン湖(Lake Natron)の南に位置するエンガレセロ(Engare Sero)と呼ばれる場所には、1万9000~5000年前の間に残された400を超える足跡の化石群がある。

 アフリカで発見された人類の足跡としては過去最大規模で、いわゆる後期更新世時代の人類がどのような姿をしていたか、またどのように食料を集めていたかを垣間見ることができる。

 研究を率いた米チャタム大学(Chatham University)のケビン・ハタラ(Kevin Hatala)助教(生物学)によると、エンガレセロのような遺跡は非常に短期間に形成されたもので、そこを古代人が移動した瞬間が捉えられているという。

「この多様な化石証拠群の希少性や価値を前提として、われわれの発見が驚くべきものである理由の一つは、その規模だ。同じ火山灰の地表に、400を超える足跡が保存されている」と同氏はAFPに語った。

 これらの直接的な手掛かりからは、その足跡を付けた集団の行動様式に関する非常に興味深い知見も得られたという。

 足跡の分析は複雑なプロセスをたどった。現地のマサイ人が発見した遺跡を研究チームが2009年に初めて訪れたとき、自然浸食による露出で確認できた足跡は56だけだった。

 その後の3年にわたる発掘作業により、さらに数百の人類の足跡が発見された。シマウマやバファローなど動物の足跡も同時に発見された。