【5月16日 AFP】ドイツでは、ロックダウン(都市封鎖)対策やビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が進めているとされるワクチン開発計画に対する怒りから、陰謀論者や過激派、反ワクチン派による抗議運動が相次いでおり、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相も警戒を強めている。

 当初は、新型コロナウイルスの感染拡大対策として導入された市民生活への厳しい制限措置を非難するために、少数が抗議を繰り広げていたが、ここ数週間で抗議活動はドイツの主要都市に広がり、参加者は数千人規模に膨れ上がっている。

 抗議運動の高まりは、2015年の欧州難民危機の最中に起きたイスラム嫌悪の反移民団体「西洋のイスラム化に反対する愛国的欧州人(PEGIDA、ペギーダ)によるデモ行進にも例えられ、新型ウイルス危機への対処をめぐるメルケル氏への高い支持率を下落させるのかどうか、議論が分かれている。

 ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)が委託した最近の世論調査では、調査対象のドイツ人のほぼ4人に1人が抗議運動に「理解」を示していることが分かった。

 こうした動きは政界にもショックを与え、メルケル氏は、自身が率いる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)の上層部に、偽情報を流すロシアの活動の特徴と思われる「憂慮すべき」傾向について語ったとされている。(c)AFP/Mathieu FOULKES / Hui Min NEO