【5月15日 AFP】世界貿易機関(WTO)のロベルト・アゼベド(Roberto Azevedo)事務局長(62)は14日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)が世界経済を直撃する中、任期を1年残して8月31日に辞任すると表明した。

 アゼベド氏は辞任について、家族と合意した上での「個人的な決断」で、「政治的なチャンス」を追求するためのものではないと説明した。

 世界経済と国際貿易がパンデミックで混乱に陥り、世界大恐慌(Great Depression)以来となる落ち込みに直面する中での早期退任となった。

 164の国・地域が加盟するWTOは、激化する貿易戦争や、WTO改革を求めてきたドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領率いる米国からの痛烈な非難に対処するなど、パンデミック以前から危機にひんしていた。

 トランプ氏はホワイトハウス(White House)で14日に行われた記者会見で、アゼベド氏の辞任について「異論はない」と述べた上で、「WTOは実にひどい」とコメントした。

 一方アゼベド氏は、事務局長交代の前倒しが「新型コロナウイルス感染症後の新たな現実」に立ち向かうWTOの助けとなるとほのめかし、「この決断がWTOの最善の利益になると確信している」と述べた。

 アゼベド氏はブラジル出身の元外交官で、2013年にWTO事務局長に就任した。(c)AFP/Nina LARSON