【5月14日 AFP】英政府は14日、スイス製薬大手ロシュ(Roche)の新型コロナウイルスの抗体検査について、科学者らが「100%正確」と評価したことを受けて、同社と大量購入に向けた交渉に入ったと発表した。

 抗体検査は、過去に新型ウイルスに感染したことがあるかどうかを調べる検査。現時点では、過去に感染していればほぼ確実に免疫があるという見方で、科学者らは一致している。

 同国南部ポートンダウン(Porton Down)にあるイングランド公衆衛生サービス(PHE)の研究所は先週、ロシュの抗体検査について分析を行ったところ100%正確だったとして、同検査を承認していた。

 英国では新型ウイルスの感染拡大により、世界で2番目に多い3万6000人以上が死亡。イングランドでは今週、ロックダウン(都市封鎖)が部分的に解除されたが、現在でも1日当たり500人前後の死者が出ているため、制限緩和により労働者の命を危険にさらしていると、政府は批判を受けている。

 政府関係者らと科学者らは、信頼性の高い抗体検査で、仕事に戻る人々に安心を与えたい考え。

 高級紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は、ロシュは英国の医療サービスに対し、「研究所での検査」を毎週「数十万件」提供する準備があると報じている。

 英国の新型ウイルス検査プログラムの調整役を務めるジョン・ニュートン(John Newton)氏は、PHEがこの新型ウイルスの血清検査の評価を行ったことを認めた。

 ニュートン氏は「これはとても前向きな進展だ。特異性の高い抗体検査は、過去の感染を知る上で非常に信頼できる指標になる」と歓迎。

 その一方で、「これは今後の感染に対し免疫ができている可能性を示唆するものだが、抗体の存在がどの程度の免疫を意味するかは依然不明だ」と話している。(c)AFP