【5月15日 AFP】(写真追加)高齢者の総人口に占める割合が世界で最も高く、人口密度が世界で最も高い大都市の一つを首都に持つ日本。この国には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行しやすい環境が整っているように思われていた。

 すし詰め状態の電車をはじめとする都内の通勤風景は、さらなるウイルスの感染拡大により東京が第2のニューヨーク市になる恐れがあるとの危機感をあおるものだ。

 だが、厚生労働省によると、人口1億2600万人の日本では、これまでに確認された感染件数は1万6000件あまりで死者数も約700人にとどまっている。比較対象となる他国よりもかなり低いこの数値については、多くが当惑し、当局が全てを明らかにしていないと疑う声も上がった。

 こうした中、日本での低い感染率に寄与している可能性があるとして、マスク着用や靴を脱ぐ習慣、お辞儀をするが握手をしない文化、低い肥満率、特定の食べ物の摂取といったものがその理由として挙げられた。

 しかし、感染拡大の抑制に成功しているかのように見えるこの状況をめぐっては、実際の危機的状況は分からないとの指摘も出ている。その背景にあるのは、比較的低い検査の実施率だ。

 統計サイト「ワールドメーター(Worldometer)」によると、5月11日時点での検査実施数は累計21万8204件(厚労省のデータ)で、これは国民一人当たりの割合では先進7か国(G7)中で最少となっている。

 政府の新型コロナウィルス感染症対策専門家会議の尾身茂(Shigeru Omi)氏でさえ、PCR検査体制について「今のままでは不十分だと専門家はみんな思っている」と述べている。

 また、軽症者、無症状の人がいるとして実際の感染者数は「実は10倍か、15倍か、20倍かというのは、今の段階では誰も分からない」と指摘した。

 新型コロナウイルス感染症の重症患者への対応を行っている東京医科歯科大学病院(Tokyo Medical and Dental University Hospital)の小池竜司(Ryuji Koike)副病院長は、「日本がうまくいってるとはまだ言えない。死亡者数や感染者数の規模が欧米より違うことは確かだが」とAFPの取材で語った。

 同氏はまた、「(感染件数が少ないのは)政策的なものではない。そこではかりきれない、生活習慣とか、日本の行動のスタイルそういったもので一見そういうふうになってるだけなんじゃないか」とも付け加え、衛生観念やあいさつの仕方などを例に挙げた。