【5月13日 AFP】(更新)欧州連合(EU)は13日、旅行をはじめとする今夏の観光業の段階的な再開計画を発表した。新型コロナウイルスの大流行で危機的状況にある観光業界の雇用保護を目指したい考え。

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 新型ウイルス対策での移動制限により、観光業にはすでに壊滅的な影響が出ている。欧州の航空各社は、数万人もの解雇を余儀なくされた。

 観光業はEU全体の生命線となっており、域内総生産(GDP)の10%、雇用の12%を占める。

 欧州委員会(European Commission)のマルグレーテ・ベステアー(Margrethe Vestager)執行副委員長は報道陣に対し、「きょう発表した指針が、観光業で生計を立てる多くの欧州市民、そしてもちろん今夏旅行を希望する人々にとって、より良いシーズンをもたらすチャンスになり得る」と述べた。

 国境の再開については各国政府に決定が委ねられているものの、EUは加盟27か国に対し、制限緩和へ向け連携したアプローチを取るよう呼び掛けている。

 再開に当たり、EUは3段階のアプローチを提案。不要不急の国外移動の大半が禁止されている現状を第1段階として、その次の段階では、新型ウイルス感染症の流行が同程度で、医療状況が改善に向かっている国や地域間の移動制限を解除。さらに最終段階では、コロナ対策の国境制限をすべて解除し、欧州全域での移動を再び許可する、というものだ。

 経済的な影響に加え、多くの欧州市民にとって毎年の夏季休暇は、大切な恒例行事でもある。

 ただ新型ウイルスとの闘いが続く中でのバカンスは、感染リスクを最小限に抑えるための措置が講じられ、これまでとは相当異なった休暇になるとみられる。

 旅行者らはEUの勧告に基づき、飛行機や電車、バスなどの公共交通機関を利用する際や、空港や駅などの各移動拠点でも、常時マスクを着用しなければならない。

 安全な対人距離を維持するため、乗客数も減らされる他、食品のワゴンサービスや食堂車の運用は中止する。

 ホテルやレストランでは、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の規則が守られるよう、客数制限が求められる。

 感染症の推移をしっかりと監視し、ホットスポット(一大感染地)が発生した場合は迅速に特定できるよう、EU諸国は接触を追跡する携帯電話アプリの全域での活用に合意している。(c)AFP/Damon WAKE