■ブルズ王朝の終わり

 ピッペンは開始わずか7分と、第3クオーターの終盤にも治療のため交代を強いられた。マッサージやアイシングでも痛みは引かず、それでもタイトルが懸かっている以上、コートに立つ以外の選択肢はなかったピッペンは、「非常に痛かった。痛みが増していき、動くたびに腰がピリッとくる感じだ。治療を受けて、最後までがんばるとみんなに言った。すごく大変だった」と話している。

 一方、ジャズは残り41秒の場面でジョン・ストックトン(John Stockton)の3ポイントシュートが決まり、一時勝ち越しに成功したが、最後はストックトンのシュートが外れて力尽きた。

 31得点を挙げながらも、致命的な場面でジョーダンにボールを奪われたマローンは、敗戦の責任を受け入れ、「自分たちは激しく戦った。良い仕事をしたよ。つらい敗戦だ。彼がボールを奪った。これもバスケだ」と話した。

 ブルズは1991年から1993年にかけても3連覇を達成しており、1998年のタイトル獲得はいわゆる「スリーピート」の再現だった。プレーオフの3年間の戦績は、いずれも45勝13敗とまったく同じだった。

 しかしながら、この当時はすでにジョーダンが引退を検討し、ピッペンはフリーエージェント(FA)の権利を獲得、そしてジャクソンHCは退任が確定していた。そのため、チームの先行きは不透明で、優勝には一抹の寂しさがあった。

 4連覇を目指すかという問いかけに対し、ジョーダンは「実現できたら本当にうれしい。夏の間に考えなくてはならないことだと思う」とコメント。しかし、ジョーダンはこのシーズンを最後に2回目の引退を発表することになる。