【5月18日 AFPBB News】新型コロナウイルスの世界的大流行で、NBAのシーズンが中断を余儀なくされて以来、1990年代にシカゴ・ブルズ(Chicago Bulls)で通算6度のNBAファイナル制覇を成し遂げたマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏のキャリアを詳細に描いたドキュメンタリーシリーズ「ラストダンス(The Last Dance)」が、ファンの間で大ヒットとなっている。

 全10話で構成されたオリジナル番組では、密着カメラによる未公開映像などを織り交ぜながら、ブルズの1997-98シーズンが記録されており、若手時代から1990年代にブルズで通算6度のNBA制覇を経験するまでのジョーダン氏の驚くべきストーリーが再び語られ、楽しみを奪われたファンの心を満たした。

 1998年6月14日に行われたNBAファイナル第6戦、ジョーダンを擁するブルズは、前年のファイナルでも対戦したユタ・ジャズ(Utah Jazz)を87-86で退け、90年代で2度目となる3連覇を達成した。ジョーダンがブルズで最後にトロフィーを掲げたその日は、同選手の輝かしいキャリアのハイライトにして、フィナーレでもあった。

 この試合のジョーダンは、終了のブザーまで残り5.2秒の場面で決めたジャンプシュートを含め、一人で45得点をたたき出し、過去5回の優勝時と同様、通算6回目のファイナルMVPに輝いた。ジョーダンは「これまで勝ち取ってきた優勝の中で、今回が一番厳しかった」とコメントしている。

 ジャズにリードを許して迎えた試合終盤、ジョーダンは残り37秒の場面で得点を挙げて85-86と1点差に詰め寄ると、さらにジャズのカール・マローン(Karl Malone)からボールをスティールし、マークについたブライオン・ラッセル(Bryon Russell)をかわしてからのジャンプシュートを成功させ、チームを逆転勝利に導いた。それは同時に、ブルズでの最後のシュートとなった。

 試合終了のブザーが鳴ると、ジョーダンは指を6本立て、チームメートのスコッティ・ピッペン(Scottie Pippen)やフィル・ジャクソン(Phil Jackson)ヘッドコーチ(HC)と抱擁を交わし、喜びを分かち合った。ジョーダンのキャリアでも特に劇的な優勝の瞬間となった。

 このシーズン、かつてないほど多くのプレー時間を重ねていたジョーダンだが、ファイナル第6戦ではピッペンが深刻な腰痛に見舞われ、満足にプレーできなかったため、一人でチームをけん引した。ドライブのたびに厳しいマークを受け、体力を削り取られたジョーダンだったが、それでもNBA史上最高のスターがベンチに下がったのは後半のわずかな時間だけだった。