■セレモニーではファンが懇願も……

 優勝から2日後に行われたセレモニーでは、大勢のファンがジョーダンらチームの英雄を歓迎し、あと1年チームに残ってほしいと訴えた。

 当時、ほぼ毎年の恒例行事と化していた優勝セレモニーでは、90年代のNBAに一大王朝を築き上げたチームの最後になるかもしれない姿を目に焼き付けようと、グラントパーク(Grant Park)に25万人の大観衆が集結した。

 そしてスター軍団が壇上に現れると、興奮したファンは警官隊がつくったバリケードを破る勢いで前方へ殺到し、「あと1年、あと1年」と叫んだ。このブルズが見られるのは今季が最後とシーズンを通して言われ続けていた中で、「チームは解体しない」という言葉を本人たちから聞きたかったファンにとっては、感動的な一方でほろ苦い瞬間だった。

 一番の歓声を浴びたジョーダンは、かすかな希望を残すかのように「シカゴの街全体が喜びを分かち合える瞬間がまた来ることを祈り、願おう」と話している。しかし、ジョーダンの持ってまわった発言の一方で、セレモニーでは一つの時代の終わりが確実に訪れたことをうかがわせる言葉もあった。

 年俸600万ドルの単年契約終了となるジャクソンHCは、「これがわれわれのラストダンスで、見事なワルツだった」とコメント。チームから正当に評価されておらず、報酬に不満を感じていたピッペンも退団希望を隠そうとせず、「最高だった。俺たちのラストダンスにありがとう」と話した。(c)AFP/Jim Slater