【5月12日 AFP】米ニューヨークのタイムズスクエア(Times Square)にこのほど、「ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の死の時計」という意味の「トランプ・デス・クロック(Trump Death Clock)」が設置された。そこに表示されているのは、新型コロナウイルスへの対応をより迅速に行っていれば死を回避できた可能性のある米国内の犠牲者数だとされる。

 制作者は、映画監督のユージーン・ジャレッキー(Eugene Jarecki)氏。ニューヨークを拠点とし、サンダンス映画祭(Sundance Film Festival)で2度の受賞歴がある。

 ジャレッキー氏がブログプラットフォーム「ミディアム(Medium)」への投稿で説明したところによると、この「時計」はトランプ政権がソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と学校閉鎖を3月16日ではなくその1週間前の3月9日に実施していれば予防できた死が、新型ウイルスによる死者数の6割に当たるとする考えに基づいて設定されているという。

 同氏はこの6割という比率について、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長が先月中旬に行った発言を受けて、複数の専門家らが試算した控えめな割合だとしている。

 ファウチ氏に対しては、米政府による新型ウイルス対応の要として国民からの信頼が高まっている。同氏は先に、「予防策をより早く講じていれば、命を救えただろう」と述べていた。

 ジャレッキー氏はミディアム上で、「すでに不必要に失われた数々の命が、われわれはより責任をもって危機に対応できるリーダーシップを求めていくべきだと訴えている」と指摘。

「記念碑に刻まれた戦没者らの名が戦争の犠牲を思い出させてくれるように、大統領の新型ウイルスへの対応の遅れによって失われた命を数値化することは、極めて重要な公共機能を果たすだろう」と、同氏は述べている。(c)AFP