【5月12日 AFP】韓国当局は12日、首都ソウルの複数のナイトクラブで発生した新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)対策で、客の追跡に携帯電話の情報を利用していると明かした。同市は同性愛者らに対する偏見に考慮し、匿名での検査の実施を約束している。

 新型コロナウイルス対策において、韓国は世界の模範とされている。しかし、ソウルの繁華街・梨泰院(Itaewon)の複数のゲイクラブを含むナイトクラブでクラスターが発生し、新規感染者が急増。当局は今週予定されていた学校の再開を延期した。

 保守的社会である韓国では同性愛への偏見が根強く、ナイトクラブの客の多くは名乗り出ることに消極的だとみられている。

 朴元淳(パク・ウォンスン、Park Won-soon)ソウル市長は記者らに、12日午前の時点で、101人の感染者が梨泰院の集団感染に関連していると話した。

 朴氏は、ソウル市は携帯電話会社から提供された情報に基づく梨泰院を訪れた1万905人のリストを入手しており、対象者らには検査を受けるようテキストメッセージをすでに送っていると述べた。

 国の中央災害安全対策本部によると、ナイトクラブを訪れたとみられる人のうち2000人近くと連絡が取れておらず、これらの人々を追跡するために数千人の警察が動員される予定だという。

 同本部の尹泰皓(ユン・テホ、Yoon Tae-ho)氏は、クレジットカードや携帯電話会社が提供した情報などで特定できない人を追跡するために、捜査本部を設置し警察官8559人を動員すると話した。

 ソウルの朴氏は、過去2週間に梨泰院を訪れた7000人以上が検査済みだと話した。また、同氏は11日、検査を逃れようとする人には罰金200万ウォン(約18万円)を科すと発表している。

 同氏によると、市がプライバシー保護のため匿名検査を導入したことを受け、検査数は2倍になった。だが、さらに多くの客に名乗り出てもらう必要があると訴えている。(c)AFP