【5月12日 AFP】新型コロナウイルス感染拡大を受けたロックダウン(都市封鎖)が続くインドで、国立公園での密猟未遂が増加している。公園当局は10日、希少なイッカクサイ(インドサイ)が殺される事件があったと明らかにした。

 世界で最も多くのイッカクサイが生息する北東部アッサム(Assam)州のカジランガ国立公園(Kaziranga National Park)では、ロックダウンにより近くの幹線道路の交通量が減り、動物たちが公園の境界線に近づいていることから密猟の被害に遭いやすくなっている。

 公園の責任者はAFPに対し、殺されたイッカクサイからは角がなくなっていたと述べた。また、自動小銃AK47の「空になった薬きょう8本を回収した」と明かし、密猟事件と断定されたと述べた。

 報道によると、闇市場でサイの角1本は最大15万ドル(約1600万円)、1キロ当たり約6万ドル(約640万円)で取引され、中国伝統薬として使用されるという。

 当局によると、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されているカジランガ国立公園で密猟が確認されたのは、今年に入って今回が初めてだという。同公園では毎年、多数の密猟事件が起きている。

 また、3月末にインド全土でロックダウンが始まって以降、同公園内とその周辺で密猟未遂が増加しているという。

 かつてイッカクサイは同地域の広範囲に生息していたが、狩猟と生息地の喪失により個体数は数千にまで激減している。(c)AFP