【5月12日 AFP】マダガスカルのアンドリー・ラジョエリナ(Andry Rajoelina)大統領は11日、同国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として薬草茶を推奨しているにことに向けられている批判について、西洋がアフリカの伝統薬を見下していると非難した。

 ラジョエリナ氏はフランスのテレビ局「フランス24(France 24)」など仏メディアとのインタビューで、「もしもこの治療法を発見したのが、マダガスカルではなく欧州の国だったらそんなに疑念を抱くだろうか? 私はそう思わない」「アフリカの科学者が過小評価されることがあってはならない」と述べた。

 さらに、「問題は(薬草茶が)アフリカ由来であること、マダガスカルのような国がこの世界を救う処方を見つけ出したという事実を彼らが認められないことだ」とも語った。

 ラジョエリナ氏が新型コロナウイルス感染症治療薬として推奨している薬草茶について、世界保健機関(WHO)は臨床試験(治験)が実施されていないとして繰り返し各国政府に警告している。

 WHOの懸念に対し、ラジョエリナ氏は「どの国や組織もわれわれの前進を妨げることはない」と述べ、薬草茶の有効性の証拠は「わが国の病人が回復していること」だと反論した。

「コビッド・オーガニクス」と呼ばれるこの薬草茶は、抗マラリア作用が確認されているヨモギ属の植物やその他の在来種のハーブから作られている。

 ラジョエリナ氏は、この薬草茶を新型コロナウイルス感染症患者に与えれば10日以内に回復すると主張し、西アフリカやその他の地域にも配布したいとしていた。配布は先月から始まり、すでに赤道ギニアやギニアビサウ、ニジェール、タンザニアが受け取っている。

 公式統計によると、マダガスカルの新型コロナウイルス感染者は183人で、105人の回復が報告されており、死者は一人も出ていない。

「回復患者は、コビッド・オーガニクスの投与だけで治癒した」とラジョエリナ氏は述べ、さらにこの薬草茶を「改良型の伝統薬」と称し、マダガスカルでは臨床試験ではなくWHOのガイドラインに沿った「臨床観察」を行っていると説明した。(c)AFP