【5月16日 AFP】台湾北部・桃園(Taoyuan)にある4階建ての店を埋め尽くす神々の彫像──これらは不要とされた彫像を回収し、修復を手掛けてきたある男性の40年間の軌跡だ。

 林新来(Lin Hsin-lai)さん(61)はAFPに対し「神々の彫像が捨てられ、さらには風雨にさらされているものもあるのは残念だ」と語り、修復した彫像に祝福の儀式を行った。「これらは文化財として扱われるべきです」

 彫像は寺院や自宅、公園やオフィスなど、台湾の至る所で目にすることができる。台湾の二大宗教の仏教と道教では、神々や化身を描いた色鮮やかな彫像を崇拝するが、その多くは捨てられてしまうという。

 彫像が捨てられるのには、大きく二つの背景がある。信心深くない、もしくは両親と異なる宗教を信仰する若い世代が、両親から彫像を継承しないため捨てる場合と、経営破綻した企業や寺院が捨てる場合だという。

 林さんは40年前、放棄された彫像を受け入れ修復する活動を単独で始めた。長きにわたり修復してきた彫像は、約2万体になるという。そのうち新たな持ち主に譲ることができたのは、わずか15%の約3000体だった。

「これは斜陽産業です」と林さんはため息をつく。「私の息子3人は誰も私の後を継ぐことに興味を持っていない。私はできる限り(この活動を)続けていかなければなりません」

 しかし林さんはきっぱりと、要らなくなった彫像を回収し続けると話した。

「自分の体力が続く限り、一人でやっていきます」と語る林さん。「ただ、神々の彫像が捨てられているのが見るに耐えないだけなのです」 (c)AFP/Amber WANG