【5月10日 AFP】インドの化学工場から有毒ガスが漏れ、12人が死亡した事故を受け、工場の閉鎖を求める人々が9日、犠牲者の遺体を担いで工場に詰め掛けた。

 ガス漏れは7日未明、同国東岸の港湾都市ビシャカパトナム(Visakhapatnam)近郊にある韓国LG化学(LG Chem)所有の工場で発生。現場周辺から逃れようとした数百人が負傷し、多数が意識を失った。死者のうち少なくとも3人が子どもで、数十人が今も入院している。

 州政府当局は9日、現場の視察のため同工場を訪問。これに合わせ、300人ほどの群衆が警察や警備員を押しのけ、工場に詰め掛けた。

 犠牲者3人の遺体をのせた担架を運ぶのを手伝う人々の姿もあり、遺体を覆う黒い布の下からは、犠牲者らの足が突き出ていた。

 群衆は、犠牲者への正義と工場の閉鎖を求めるスローガンを叫んだが、その後警備員によって押し返された。遺族らもそばに立ち、多くの人の目には涙が浮かんでいた。

 当局は、ガス漏れをめぐり過失致死容疑で捜査を開始。また同国で環境関連事件を管轄する裁判所はすでに、同社に対する仮処分として罰金620万ドル(約6億6000万円)の支払いを命じている。

 警察によると、同工場は新型コロナウイルスの感染拡大防止策としてインド全土で実施されていたロックダウン(都市封鎖)を受け放置状態にあった。放置されたタンク内のガスが過熱したのが、ガス漏れの原因だとの見方を示している。

 LG化学は、ロックダウンを受け工場の操業を停止していたことを認めているが、保守点検作業員は常駐していたと主張している。(c)AFP/Padmanabha Rao