【5月7日 AFP】(更新、写真追加)インド東岸の港湾都市ビシャカパトナム(Visakhapatnam)近郊にある韓国LG化学(LG Chem)の子会社LGポリマーズ・インディア(LG Polymers India)の化学工場で7日未明、ガス漏れが発生し、11人が死亡、約1000人が病院に搬送された。現地の警察と医療当局者が明らかにした。

 警察によると、容量5000トンのタンク2基からガスが漏えいした。7日午前3時半(日本時間同7時)ごろ、地元住民から、大気中にガスが漂っていると通報があったという。

 警察はAFPの取材に、タンクは新型コロナウイルスの感染拡大防止策としてインド全土で3月末から始まったロックダウン(都市封鎖)を受け、放置状態にあったと話した。放置されたタンク内で化学反応が起きて、熱が発生したのがガス漏れの原因だとの見方を示している。

 インドのテレビ局各社は、ビシャカパトナムの路上に女性や子どもを含む大勢が横たわっている映像を報じている。

 地元警察は、7日午後までに11人の死亡が確認されたと説明。現地の医療当局者によると、1000人が病院に搬送されたが、現在入院しているのは600人で、いずれも深刻な容体ではない。

 現地紙タイムズ・オブ・インディア(Times of India)によれば、死者には8歳の少女が含まれ、5000人が体調不良を訴えている。住民は呼吸困難や発疹、目の痛みを訴えているという。

 ビシャカパトナムとその周辺には約500万人が居住している。

 LG化学は、「ガス漏れの状況は既に制御下にある。漏えいしたガスを吸引した被害者の迅速な治療のため、あらゆる方法を探っている」と発表。被害状況やガス漏れと死者が出た原因について、調査を開始したことを明らかにした。

 LG化学によると、工場はロックダウンを受け操業を停止していたが、保守点検作業員は常駐しており、夜間シフトの作業員がガス漏れを発見して報告していたという。(c)AFP