【5月10日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)前米大統領は8日夜、前政権メンバーらとの個人的なチャットの中で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の新型コロナウイルス対応を「全くの混乱を招いた大惨事」だと厳しく批判した。

 チャットの中でオバマ氏は、ロシア疑惑をめぐり米連邦捜査局(FBI)への偽証を認めていたマイケル・フリン(Michael Flynn)元大統領補佐官(国家安全保障担当)の起訴取り下げを司法省が決定したことが、米国の法の支配を脅かしているとの懸念も表明。

 また、11月の大統領選に向けて、民主党候補指名を確実にしたジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領を共に支持するよう前政権メンバーらに呼び掛けた。

 米ヤフーニュース(Yahoo News)が最初に入手したこのチャットの音声によると、オバマ氏は、「われわれが闘っているのは、自己中心的で仲間を優先し、分裂して他者を敵視する長期的な傾向だ。それは米国人の生活の中でより強い衝動となっている」と語った。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大の対応について、「政府が極めて有能でも、うまくいかなかっただろう。『自分にとってどのような利益があるか』や『他人のことなど構わない』という考え方が政府でまかり通る時、(コロナ対応は)全くの混乱を招いた大惨事となる」と述べた。

 米国の感染者数は世界最多の約130万人で、死者数は7万7000人超に上っている。

 トランプ氏は、この危機的状況で国を導く役割を基本的に放棄したと批判されており、感染拡大への対応は各州に任せられ、医療物資の調達で州同士が競合する状況さえある。

 トランプ氏は再選をにらんで人命より自身の政治的利益を優先させているとの非難もある。同氏は経済活動の再開を各州に強く求めているものの、ウイルス感染への安全策は明確に提示していない。(c)AFP