【5月10日 AFP】「トゥッティ・フルッティ(Tutti Frutti)」や「のっぽのサリー(Long Tall Sally)」といった名曲を生み、斬新な演出と高速なリズムでファンをとりこにした伝説の歌手、リトル・リチャード(Little Richard)さんが死去した。87歳だった。

 リチャードさんの友人、ビル・ミンソン(Bill Minson)牧師はAFPに対し、リチャードさんが9日朝、がんで亡くなったと明らかにした。

 独特のたたきつけるような激しい演奏やほえるようなファルセットでファンを魅了したリチャードさんは、英ロックバンド「ビートルズ(The Beatles)」などの歌手にも影響を与えた。リチャードさんは、ファッツ・ドミノ(Fats Domino)さんやチャック・ベリー(Chuck Berry)さん(いずれも故人)と並び、ブルースから熱狂的な新しいスタイルの音楽、「ロックンロール」を誕生させた一人。

 1955年制作の激しめな曲「トゥッティ・フルッティ」は、米音楽界にロックンロールが入る草分け的な一曲となった。

 本名をリチャード・ウェイン・ペニマン(Richard Wayne Penniman)というリチャードさんは、1932年12月5日生まれ。米ジョージア州メイコン(Macon)の過酷な貧困の中で育った。

「リトル・リチャード」という名前とは裏腹に、細身で180センチもの高身長を持つ。いたずら好きで、音楽を求めて教会に長居するような子どもだった。非常に柔弱でもあった。

 リチャードさんはジョージア州で目立たない歌手活動をしていた頃、いくつかのレコードレーベルから接触を受けた。だがすぐに成功したわけではなく、初期のRCAビクター(RCA Victor)やピーコック・レコード(Peacock Records)での活動中には期待通りの成果が得られなかった。

 リチャードさんは自分が「トゥッティ・フルッティ」をレコーディングするとは考えていなかったが、何度もリチャードさんから電話を受けてすでにしぶしぶ契約を結んでいたスペシャルティ・レコード(Specialty Records)のプロデューサー、バンプス・ブラックウェル(Bumps Blackwell)氏はこの曲に注目。

 15分もかけずに3テイクだけ録音してレコーディングを終えたこの曲はそれまでにない反響を呼び、リチャードさんは決定的なヒット曲を生み出した。(c)AFP/Maggy Donaldson, with Shaun Tandon in Washington