【5月9日 AFP】母親に畑用の水をくみに行かされるたびに、テハンジラ・ケッサール(Tehandjila Quessale)さん(16)の気持ちは沈んだ。アフリカのアンゴラ南部ウイラ(Huila)州に住むケッサールさんは、3時間歩いて水をくみに行くために学校を早退しなければならなかった。それが家から一番近い水くみ場で、着いた後も長い列に加わらなければならない。

 大抵はバケツに水をくみ終わるころには日が暮れてしまい、ケッサールさんは襲われるのではないかと怯えた。知り合いの少女2人が、村へ帰る夜道でレイプされたからだ。

 干ばつ被害に見舞われているウイラ州があるアフリカ南部では、数年に及ぶ雨不足で大半の水源が枯渇し、作物が壊滅的な被害を受けている。国連(UN)によると約4500万人が広がり続ける飢餓に直面している。

 だが、日照り続きの後の不安定な豪雨のせいで、土壌は飽和状態となった。寝室が一つしかない石造りの家に母親ときょうだい6人で住むケッサールさんは、今では近所の湧き水をくむことができる。

 しかし、家族で育てていた穀物は不作で、食料はなかなか手に入らず、不安は尽きない。おまけにほとんどの男性たちは仕事を求めて街に出てしまい、子どもたちの空腹を満たす役割は女性たちに委ねられている。

 救援活動家らによると、どうにかして金銭と食料を手に入れるために体を売っている少女たちもいるという。

「気候変動は女性たち、特に子どもを産む年齢にある女性や少女たちの人生に非常に大きな影響を与えている」と、国連人口基金(UNFPA)のアンゴラ事務所代表フロルベラ・フェルナンデス(Florbela Fernandes)氏は言う。

 異常気象が引き起こす危機で打撃を受けるのは圧倒的に「弱者」で、弱者はまた、暴力や虐待にもさらされていると同氏は指摘する。