【5月21日 AFP】「世界はもう二度と元には戻らない」──これは、新型コロナウイルスの影響で世界経済が停滞し始めてから、何度も繰り返し言われてきたことである。新型コロナの流行で多くの人が気づいたのは、われわれの文明がいかに壊れやすいかということだ。

 コロナ危機は、私たちが知っているこの社会が機能しなくなることを警告する「コラプソロジー(崩壊学)」に関心が寄せられるなかで訪れた。

 化石燃料に基づく経済的・社会的モデルがいかに持続不可能かが気候変動によりあらわになるなか、コラプソロジーの支持者らは、これまで通りの思考がわれわれを破滅に押しやる恐れがあると声を上げる。

 この理論を最初に提唱したのは、フランスの「モメンタム・インスティテュート(Momentum Institute)」で、2015年の書籍「How Everything Can Collapse(すべての崩壊はどのようにして起こりうるか)」によって広く知られるようになった。

 フランスのイブ・コッシェ(Yves Cochet)元環境相(74)ら一部支持者は、新型コロナウイルス危機について、「迫り来る惨事の新たな兆候」との見方を示している。

 仏緑の党の創立者で数学者でもあるコッシェ氏は、新型コロナウイルスがドミノ効果のきっかけになると言い切るには「まだためらいがある」と話し、そして「遅すぎるかどうかを決めるには早すぎる」と皮肉交じりにコメントしている。

 だが自著「Before the Collapse(崩壊の前)」で、今後10年以内の崩壊を予測しているコッシェ氏は、新型コロナウイルスの流行が「想像の範疇(はんちゅう)を超える厳しい世界経済危機」につながることを確信している。

 現役を退いた後、コッシェ氏はより持続可能な生活を求めてブルターニュ(Brittany)地方での暮らしを始めた。そして、この新たな生活拠点にて「多数の犠牲を伴う経済その他の地球規模の惨事」が差し迫っていることを懸念しているのだ。