【5月7日 AFP】米人権監視団体「フリーダム・ハウス(Freedom House)」は6日、ハンガリー、セルビア、モンテネグロで民主主義が前例のない規模で後退しており、もはや民主主義国とはいえないとする報告書を発表した。

 フリーダム・ハウスは年次報告書「ネーションズ・イン・トランジット(Nations in Transit、移行期の国々の意)」の中で、特にハンガリーではオルバン・ビクトル(Orban Viktor)首相の強権的な「体制」により、民主主義国としての地位が「急激に」失われたと指摘。「現在のハンガリーはもはや、民主主義国とはみなせない」「民主主義と純粋な独裁政治の間の『グレーゾーン』に位置する(中略)ハイブリッド体制だ」と評した。

 報告書はオルバン政権について、「民主的な制度を尊重するふりを一切放棄した」とも述べている。

 ハンガリーは3月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、首相の権限拡大や非常事態宣言の無期限延長を可能とする非常事態法を可決した。これにより「オルバン政権の非民主的な性格がよりあらわになった」 と報告書は指摘している。

 フリーダム・ハウスはまた、バルカン半島のセルビアとモンテネグロについても、それぞれアレクサンダル・ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領、ミロ・ジュカノビッチ(Milo Djukanovic)大統領の下で「国家による拘束、職権乱用、独裁的な手法を用いる事例がここ数年増加している」ことを理由に、2003年以来初めて民主主義国としての地位を失ったと報告した。(c)AFP