【4月28日 AFP】旧ソ連軍の英雄の像を撤去したことでロシア当局に狙われていると報じられたチェコ首都プラハの市長が27日、警察に保護されていると自ら発表した。報道の真偽については明らかにしていない。

 プラハのズデニェク・フジブ(Zdenek Hrib)市長とロシア政府の間には今月、対立が生じていた。原因はフジブ市長が、同市に冷戦時代に設置されたソ連軍の英雄イワン・コーネフ(Ivan Konev)元帥の像の撤去を手掛けたことで、ロシアの外交筋は「錯乱した市長らによる破壊行為」だと非難していた。

 コーネフ元帥はロシアでは英雄視されているが、チェコではソ連時代の弾圧の象徴との見方が強い。

 チェコ週刊誌「レスペクト(Respekt)」は27日、最近1人のロシア人が外交官パスポートを使って入国し、生物兵器として使用される可能性のある猛毒リシンを持ってプラハ入りしたと報じた。

 また現地紙Denik Nは、この情報をめぐりチェコ外相がロシア大使に対して、チェコの政治家らに対するいかなる行動も取らないよう警告したと報じていた。

 レスペクトの報道の直後、フジブ市長はロシアの独立系ラジオ「モスクワのこだま(Echo of Moscow)」に対し、チェコの警察当局の判断でその保護下にあるが、理由は語れないと述べた。

 チェコの政府関係者と警察当局は、この件に関するコメントを拒んでいる。一方、ロシアのドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は首都モスクワで報道陣に対し、レスペクトの報道は誤った情報だと述べた。

 また親ロシア派として知られるチェコのミロシュ・ゼマン(Milos Zeman)大統領は、コーネフ元帥像の撤去を「お粗末でばかげた」行為だと非難している。

 コーネフ元帥は1945年にソ連の赤軍(Red Army)を率い、ナチス・ドイツ(Nazis)に占領されていたプラハを解放したが、1956年にソ連に対して起きたハンガリー動乱(Hungarian Uprising)の鎮圧作戦も指揮した。また1968年に当時のチェコスロバキアで起きた民主化運動「プラハの春(Prague Spring)」もソ連軍を率いて鎮圧した。(c)AFP