米大統領、共和党内反トランプ派のビデオ広告に「負け犬」と反撃
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【5月6日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は5日、共和党内の反対勢力が制作した反トランプ広告に対し、「負け犬」たちの仕業だと批判し反撃した。
共和党内の反トランプ勢力は、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領が再選を目指した1984年の選挙運動で用いた有名なコマーシャルとスローガンである「アメリカの朝(Morning in America)」をもじり、「アメリカで喪に服す(Mourning in America)」と題した1分間のビデオ広告を制作。インターネット上で公開した。
ビデオ広告は「何万人もの米国人が 『ドナルド・トランプが無視した致命的なウイルス』によって殺された」として、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)へのトランプ氏の対応を攻撃。「ドナルド・トランプのリーダーシップの下でわが国は弱くなり、さらに病み、より貧しく」なり、全国的な外出制限によって2600万人の米国人が仕事を失い「経済はめちゃくちゃだ」と述べた上で、「今、米国人は疑問に思っている。このような4年間がもう一度続いたら、果たして米国は存在しさえするのだろうか?」と畳み掛けている。
米国では4月末までの6週間で、初めて失業給付を申請した人の数が3000万人を超えた。このビデオ広告は4日の公開以来、ネット上で瞬く間に拡散し、500万回以上視聴されている。
パロディーの元ネタとなっているレーガン氏の有名な選挙広告では、米国の繁栄と楽観主義が描かれていた。今回の反トランプ広告はこれと対照的に荒廃した住宅街や放置された工場、失業保険を申請する男性といったディストピア的なイメージを描いている。
制作した「リンカーン・プロジェクト(Lincoln Project)」は、「トランプ絶対反対派」を自称する共和党員によるグループで、ケリーアン・コンウェー(Kellyanne Conway)大統領顧問の夫のジョージ・コンウェー(George Conway)氏も名前を連ねている。
トランプ氏は5日朝、ツイッター(Twitter)に4本の投稿を連投し、このグループを攻撃。プロジェクト名に用いられている南北戦争(American Civil War)時代の大統領エーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)に触れ、「彼らのいわゆるリンカーン・プロジェクトは、オネスト・エイブ(誠実なエイブ、Honest Abe、リンカーンの愛称)の恥だ」と批判。さらに「ケリーアン(コンウェー大統領顧問)が狂った負け犬の夫、あの『丸顔』に対して何をしたのか知らないが、相当ひどいことをしたに違いない」とも言及した。
この日、トランプ氏の怒りは冷めなかったようで、アリゾナ州でのイベントに向けて出発する前にも報道陣に「私が彼らの名前を『負け犬プロジェクト』に変更してやろう」「彼らは共和党の負け犬だ」と述べた。(c)AFP