【5月5日 AFP】インド政府が新型コロナウイルス流行の拡大防止策として実施していたロックダウン(都市封鎖)を緩和したところ、約40日ぶりに酒を買おうとする多くの市民らが酒店に殺到した。店の前では警官が警棒を振り回し、これを制圧する姿も見られた。

 インドの一部の州の知事らは、酒税は主要な税収源だとして酒小売店の早期再開を推進していた。北東部アッサム(Assam)州など一部の州では、数日前から営業が再開されていた。

 インドでは先月、工業と農業でロックダウンを緩和。これに続き4日には、事業所を通常の3分の1の人員で運営することが許可された。また特定の商店の営業再開や、車やバイクの公道走行も一部許可された。

 営業再開された酒店の前では当局の職員らが、酒を買い求める客同士の距離を保つために、地面にチョークで並ぶ位置のしるしを付けた。だが早朝から客が集まったため、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)のための苦労は水の泡となった。

 幸運な客の一人、サガールさん(25)はAFPの取材に対し、午前7時半(日本時間同11時)に酒小売店に向かうと、店が早めに開いてうれしかったと話した。

 なんとかワインを買うことができたサガールさんは、「午前中に20人から25人が来店した。店の営業時間は2時間程度だった」「一度の入店は5人までに制限されていた。もう閉店してしまった」と話した。

 一方、西部マハラシュトラ(Maharashtra)州を含む一部の州では営業再開許可をめぐる混乱があり、閉まったままの酒小売店もあった。

 現地メディアによると、デリー(Delhi)首都圏当局は4日夜、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で打撃を受けた税収を増やすために、5日から酒の販売に70%の「特別コロナ税」を課すと発表した。
 
 インドでは、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相の地元である西部グジャラート(Gujarat)州のように飲酒が違法な州もあるが、中流層の増加と共に酒の消費量も近年大幅に増えている。(c)AFP/Bhuvan Bagga and Aishwarya Kumar, with Sailendra Sil in Kolkata