【5月5日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)のマネジング・ディレクターを務めるロス・ブラウン(Ross Brawn)氏は4日、新型コロナウイルスの影響でチームがF1から撤退する「悲劇」を防ぐために、予算削減が不可欠であるとの認識を示した。

 ブラウン氏は2021年シーズンの予算制限を1億4500万ドル(約154億5800万円)に引き下げ、その先の数年間でさらに減額していく可能性と、レースの競争性を高めるための別の措置として、分配金をより均等にしていくことについても言及した。

 チームの競争力を互角にするために、当初は来季の予算を1億7500万ドル(約187億円)に制限するはずだったが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で今季のF1が開幕から10レース連続で延期または中止になったことを受けて、モータースポーツ界を統括する国際自動車連盟(FIA)との協議で予算額を引き下げることが検討されているという。

 ブラウン氏は英スカイ・スポーツ(Sky Sports)に対して、「多くの協議が行われ、その最終段階にいる」とすると、「上限を1億4500万ドルにすることから始めて、さらに先の数年間でどれだけ引き下げられるか話し合っている」「新たな協定では、分配金についてもより公平性を期すことになっている。特に中堅チームは、分配金の割合が増えるだろう」と述べた。

■「チームを失うことは悲劇」

 メルセデスAMG(Mercedes AMG)を筆頭に、フェラーリ(Ferrari)やレッドブル(Red Bull)などのトップチームは、当初提案された1億7500万ドルの2倍に相当する年間予算を保持している。

 まさにF1を代表するチームでイタリアの名門であるフェラーリは先月、チーム代表が英紙ガーディアン(Guardian)に対して、さらなる予算制限という「厳しい要請」が現実的になった場合、以前なら考えられない動きに出る可能性やF1撤退について言及していた。

 それでも、フェラーリの元テクニカルディレクターであり、メルセデスのチーム代表も務めた経歴を持つブラウン氏は、「各チームのマネジメントとの協議では、非常に明確になったことがある。メッセージははっきりしている。われわれは予算を削減し、予算に制限を設ける必要があるということだ。この時期にいくつかのチームを失うことになれば、それは悲劇だ」と述べた。(c)AFP