【5月4日 AFP】米国のアリス・ウェルズ(Alice Wells)国務省南アジア担当次官補代理(南・中央アジア担当)は3日、退官の意向を明らかにした。ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権下で米上院の承認を受けた正式な国務次官補がいない地域は南アジアと中央アジアだけだが、ウェルズ氏の退官により、同地域担当の国務次官補が不在のまま、トランプ氏は任期を終える公算がますます大きくなった。

 国務省によると、ウェルズ氏はトランプ政権1期目の大半で国務次官補代理を務めたが、5月22日付で退職し、31年のキャリアに終止符を打つ。ウェルズ氏は正式な大統領の推薦も上院の承認も受けてはいなかったが、米印関係の強化を精力的に推し進めた。

 後任には南アジア担当のベテラン外交官で、駐ムンバイ米総領事を務めたトム・ワイダ(Tom Vajda)氏が就任する。

 これまでトランプ氏はインドとの関係強化を訴え、今年2月には同国を訪問するなど、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)印首相との親交も深めていた。

 ただ、大統領選まで6か月となり、さらに新型コロナウイルス危機にすべての注目が集まっており、南アジア担当の正式な国務次官補が決まる可能性は低いとみられている。

 トランプ政権はかつて、国防情報局高官のロバート・ウィリアムス(Robert Williams)氏を南アジアの国務次官補に推薦したが、ウィリアム氏は個人的な事情を理由に辞退している。(c)AFP