【5月2日 AFP】米カリフォルニア州の複数の都市で1日、新型コロナウイルス感染対策として講じられた外出禁止令の緩和を求めるデモ行進が行われ、参加者らはギャビン・ニューソム(Gavin Newsom)知事によるビーチの閉鎖措置に対して抗議の声を上げた。

 抗議行動が行われたのは、州都サクラメント(Sacramento)、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ(San Diego)など少なくとも11都市。大半の参加者はマスクなどで顔を覆うことはせず、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の指針にも従わないまま、「オープンなカリフォルニアを」「自由」などのシュプレヒコールを上げ、カウベルを鳴らした。

 ロサンゼルスの南方約55キロの位置にあるハンティントンビーチ(Huntington Beach)でも多数の人々が集まり、先週末に大勢の市民が海岸に殺到した事態の二の舞を避けるために1日からビーチを閉鎖させたニューソム知事の命令に対して非難の声を上げた。

 ハンティントンビーチおよび近隣の自治体は、ビーチ閉鎖命令に対抗するため、法廷で闘う考えを表明。ハンティントンビーチの市代理人を務めるマイケル・ゲイツ(Michael Gates)氏は、知事の命令は違憲であり、合理的な根拠がないと主張している。だが、同市があるオレンジ(Orange)郡の判事は1日、今回の知事命令に対して一時的な差し止め命令を出すことを拒否し、5月11日に審理を行うことを決定した。

 ロサンゼルス市内では、数百人が市役所の前で外出制限の終了を求めるデモ行進を行い、カウンターデモの参加者らがロックダウン(都市封鎖)は人命を救うには必要な措置だと訴え、緊迫した空気が漂った。

 デモ参加者の一人は、ロックダウンは米国が体現するものに反していると主張。「私たちは米国人であり、自由だ。自分の面倒は自分で見られる」として、「私たちのビーチと公園を再開してほしい。自由な生活を送れるようにしてほしい。彼(ニューソム知事)は私たちを家の中に閉じ込めている」と訴えた。

 一方のニューソム知事は1日に行った記者会見で、デモ参加者に対し、気持ちは分かるが引き続き外出制限措置に従ってほしい、デモに参加する際もマスクを着用して社会的距離を取るようにしてほしいと訴えた。「この病気(ウイルス)は、あなたがデモ参加者か、民主党員か共和党員かどうかは気にしない」「このウイルスが認識するのは一つだけ、宿主かどうかだ」と述べた。

 新型ウイルスによる全米の死者は6万4000人を超えている。カリフォルニア州ではこれまでに感染者5万人超、死者2100人超が確認されているが、人口が全米最多の4000万人近いことを考えると、死亡率は比較的低いと見なされている。(c)AFP