【5月2日 AFP】新型コロナウイルス流行により閉館している東京のすみだ水族館(Sumida Aquarium)が、一般の人々に向け、館内で飼育するチンアナゴとビデオ通話をしてほしいと呼び掛けている。繊細な生物であるチンアナゴが人間の存在を思い出し、人を見ても怖がらないようにすることが目的だという。

 都内の名所、東京スカイツリー(Tokyo Skytree)内にある同館は3月初めから閉館しており、館内で飼育されている生き物たちはこの2か月間で、ほぼ人間のいない環境にすっかり慣れてしまった。

 だが水族館によると、こうした前代未聞の状況によって「未曽有(みぞう)の事態」が生じてしまった。

 同館は今週、ツイッター(Twitter)の公式アカウントへの投稿で「飼育スタッフ以外と出会うことのなくなったすみだ水族館のいきものたちが、人間のことを、ちょっと、忘れ始めているのです。チンアナゴに至っては、飼育スタッフが通りかかってもすぐに砂に潜って隠れてしまう始末…」と説明。これにより、飼育員による健康状態の確認が難しくなってしまった。

 同館は「だから緊急のお願いです。ご自宅から、うちのチンアナゴたちにあなたの顔を見せてあげてくれませんか?」と呼び掛け、「チンアナゴ顔見せ祭り」と称したイベントの開催を発表した。

 チンアナゴは非常に繊細で警戒心が強いが、同館で暮らす300匹のチンアナゴは人間に慣れており、来館者が近づいても砂の中に隠れることはめったになかった。

 チンアナゴに人間を思い出させるため、同館はタブレット端末5台をチンアナゴの水槽に面して設置。iPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)のアプリ「フェイスタイム(FaceTime)」を使ってビデオ通話をするよう人々に呼び掛けている。

 参加者は通話が始まったら、チンアナゴに顔を見せて手を振ったり声を掛けたりできるが、チンアナゴは繊細であるため叫ぶのは控えてほしいとのことだ。

「チンアナゴ顔見せ祭り」は、ゴールデンウイーク中の5月3~5日に開催予定。この期間は通常、大勢の人々が外出するが、日本では現在、新型ウイルス流行を受けた緊急事態宣言が発令されており、国民は外出自粛を求められている。(c)AFP