【4月30日 AFP】米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は29日、選手とファンの安全が保証されない場合、北米でのプロスポーツリーグを中止する可能性を提起した。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)における同国の対策調整を支援しているファウチ氏は、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)のインタビューで、新型コロナウイルスの影響で中断しているスポーツを再開させるために重要なのは、迅速な結果が出る北米での広範な検査だとした。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受けて北米のプロスポーツリーグは3月から停止しており、すべてのメジャースポーツが延期や中断となっている。

 現在複数の競技がリーグ再開に向けた道を模索しており、バスケットボールと野球は封鎖された場所にチームを隔離し、無観客で試合を行うといった案を検討している。しかしファウチ氏は、各リーグは安全が保証されない場合、シーズンを打ち切る選択肢に向き合う必要があるとした。

「選手とファンの安全はすべてに勝る」と話したファウチ氏は、「安全が保証できなければ、残念なことではあるが、ぐっとこらえて『今季このスポーツはない可能性がある』と言わなければならない」と続けた。

 またファウチ氏は、制限の緩和が早すぎれば新型コロナウイルス流行の第2波のリスクがあるとした。「欲求に従ってあまりに早く日常に戻った場合、われわれは数週間前に落ちたものと同じ穴に落ちる」

「心からすべてのスポーツに戻ってきてほしいが、私は防疫官、医師、そして科学者として、現時点でこの国にはその準備はできていないと言わざるを得ない」 (c)AFP