【4月30日 AFP】ドイツのタニヤ・ニッケル(Tanja Nickel)さん(27)とカタリナ・オブラーデン(Katharina Obladen)さん(28)が紫外線を使ってエスカレーターの手すりを殺菌するというアイデアで特許を取ったのは、2人がまだ高校生の時だった。

 それから10年後、2人が立ち上げた小さなスタートアップ企業UVISは、世界各地から殺到する注文に辛うじて応じている。エスカレーターの手すりに付いた新型コロナウイルスを破壊する技術や、スーパーマーケットのカートやエレベーターの階数ボタンに使える抗菌性コーティング技術に対する需要が急増しているのだ。

 ケルン(Cologne)中心部にある同社の作業場でオブラーデンさんはAFPの取材に応じた。

「パンデミック(世界的な大流行)で、企業は従業員や顧客の衛生を守るために投資する必要があると気付いた。『あったらいい』から『なくてはならない』に変わったのだ」

 ドイツでロックダウン(都市封鎖)の一部緩和が始まる中、再開を熱望する商店、事務所、カフェなどから、従業員5人のUVISに注文が殺到している。今回のパンデミックにより、共有スペースに潜む健康リスクについて、市民の意識が高まったからだ。

 大学卒業後、2人は起業家支援プログラムで得た創業資金で2016年にUVISを創立した。ドイツで女性が経営するエンジニアリング企業は、当時も今もまれだ。

 今年に入ってからは、事業内容にUV技術に基づくものではない抗菌性コーティングを追加した。この透明コーティングは二酸化チタンの自浄性を利用したもので、物の表面にスプレーすることでカビ、細菌、新型コロナウイルスのようなウイルスを破壊することができる。