■ノウハウ生かして新規分野を開拓

 初期からの顧客であるティッセンクルップ(Thyssenkrupp)、シンドラー(Schindler)、オーチス(Otis)などエレベーター・エスカレーター製造大手は、UVISの「Escalite」モジュールと呼ばれる紫外線の箱を、ショッピングモールや病院、鉄道駅のエスカレーターに設置してきた。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大で、需要が爆発的に増えた。ニッケルさんは「2020年度の収益目標をすでに超えてしまった」と語ったが、その数字は明らかにしなかった。

 金属ケースの内部には、青く光る紫外線C波(UVC)ランプ3個が並んで設置されている。ここから発せられるのは最も強い種の紫外線ビームで、皮膚や目に浴びると非常に危険だ。エスカレーターの手すりがケースを通り抜けることで殺菌される。

 ニッケルさんとオブラーデンさんは将来を見越して、生産能力の強化とコーティング部門の拡大を計画しており、すでに、エレベーターの階数ボタンや店舗のカウンターや座席、スーパーのカートのハンドルなどのコーティング作業を進めている。

「他の分野も視野に入れている。ある銀行からは現金自動預払機(ATM)の現金を紫外線で殺菌するとともに、タッチパネルをコーティングすることについて問い合わせがきている」とオブラーデンさんは語る。

「私たちのノウハウの新たな使い道を考えるのはわくわくする」 (c)AFP/Michelle FITZPATRICK