■肺に微小な血栓がびっしり

 新型肺炎で重症化する人々は、心臓や肺などの基礎疾患があることが多く、その分、血栓ができやすい。

 また、集中治療を受けていると、体を長時間動かすことがないため、血栓ができやすくなる。長時間飛行機に乗っているときに体をストレッチして動き回るよう奨励されるのもそのためだ。

 新型肺炎が「サイトカインストーム」と呼ばれる免疫の過剰反応に関係していることも明らかになっているが、このことが血栓の発生率の高さに関係しているという研究結果もある。

 もしくは、新型ウイルス自体に血栓ができやすい何らかの要因があることも考えられる。他のウイルス性疾患でも血栓ができる例がすでに報告されている。

 ただブロズナハン氏によると、ヘパリンなどの抗凝固薬は全員に効果があるわけではないという。これについては、血栓のサイズがあまりに小さいことがあるためと説明している。

 実際に検視解剖では、一部患者の肺に微小な血栓がびっしりと形成されていたことが確認されている。

 こうした現象について、米ニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)にある退役軍人病院の集中治療室で働く医師、セシリア・ミラントボード(Cecilia Mirant-Borde)氏はAFPに対し、血中酸素濃度が低い患者に人工呼吸器を使用してもあまり効果がないのは、肺に微小な血栓がたくさんできていることで説明が付くと指摘した。(c)AFP/Issam Ahmed and Ivan Couronne