【4月28日 AFP】昨年の全仏オープンテニス(French Open 2019)の男子ダブルスを制したドイツのケビン・クラビーツ(Kevin Krawietz)は現在、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が起きている中で、地元のスーパーマーケットで在庫管理を手伝っている。

 同胞のアンドレアス・ミース(Andreas Mies)とのペアで、2019年にローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)のタイトルを獲得したクラビーツは、独ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)に対して、「この数週間ほど、ディスカウント店で週450ユーロ(約5万2000円)ベースで働いている」と語った。

 独ミュンヘン(Munich)を拠点とし、ダブルスで世界ランク13位につけているクラビーツは、プロ選手として地元のテニスセンターで「週3~4回のトレーニング」をする特別な許可を得ている。テニスの2020年シーズンは新型コロナウイルスの大打撃に見舞われており、今年の全仏オープンは5月から9月に延期された。

 これまでにドイツでは15万5193人の感染者と5750人の死者が出ている中、28歳のクラビーツはトレーニングをしていないときは棚の在庫管理に忙しくしているといい、「棚の整理をして、ソーセージやチーズが十分にストックされているかとか、空き箱の整頓をしている」「先週はショッピングカートを消毒しながら、入り口の警備をしていた」と明かした。

 過去にも「普通の仕事」に就くことを考えた時期もあったが、「新型コロナウイルスのおかげで、今はその機会を得られている」というクラビーツは、この経験によってプロテニスでの自身のキャリアの「ありがたみ」を実感しており、「同僚は棚を満たすために5時半過ぎから店に出ることもある」「だけど、自分はぜいたくにも趣味を職業にすることができている」と話した。

 クラビーツはミースとのペアで2019年シーズンに大躍進を果たし、全仏オープンでの勝利に続いて全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2019)では準決勝まで勝ち上がった。しかしながら、それ以前は生計を立てることに苦しんだ時期があり、「赤字で終えた年もあった」と認めた。

「イタリアのトーナメントで1000ユーロ(約11万6000円)ちょっとの賞金を稼ぎ、それが一週間の給料だったこともあった」「それで税金を支払い、遠征費やコーチ代を捻出しなけれならず、ほとんど残らなかった」

 先日ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が発表した、シーズン中断で経済的に苦しんでいる下位選手の救済案について、クラビーツは「一部の選手たちが生き残る助けになるのは確かだ」と賛成すると、「だけど結局のところ、コロナウイルスとは関係なく、トップ100圏外の選手であっても十分に生計を立てられるようにするのが望ましい」との考えを示した。(c)AFP