【4月28日 AFP】北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が2週間以上、公の場に姿を見せていない。政治的に重要な式典に出席せず、心臓血管系の手術を受けたとの報道もあることから、金氏が執務遂行不能状態に陥っている、または死亡したとの臆測さえ流れている。

 韓国と米国はいずれもこうした臆測を打ち消しているが、北朝鮮国営メディアは金氏の名前でメッセージを発信するだけで、動向に関する具体的証拠はない。

 もしも正恩氏が死亡した場合、同氏の祖父で、北朝鮮建国の父とされる故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席から3代続く金政権に何が起こるのか。

■正恩氏の死を世界はどのように知るのか?

 過去の例から見ると、北朝鮮の最高指導者が死亡した場合、最初の兆候となるのは国営テレビでの特別放送による発表だ。女性アナウンサーが黒い服を着ていれば、正恩氏が死亡したと考えられる。

 北朝鮮の重要な出来事を何十年にもわたって伝えてきた女性アナウンサーに、李春姫(リ・チュニ、Ri Chun-Hee)氏がいる。1994年の金日成氏死去、2011年の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記死去は、李氏が黒い服を着用して伝えた。

■金政権は続くのか?

 北朝鮮の正式な国名は「朝鮮民主主義人民共和国」だが、実際には共和制ではなく、1948年の建国以来、金一族が支配してきた。

 朝鮮労働党は、初代最高指導者の金日成氏が日本統治時代の朝鮮半島(Korean Peninsula)で抗日武装闘争を率いたこと、さらにその後の朝鮮戦争(Korean War)時代に米軍主導の国連(UN)軍との戦いを率いたことを根拠に金政権の正統性を主張している。

 朝鮮労働党の支配は社会の隅々にまで及んでおり、金氏が死亡した場合も何らかの民衆蜂起が起きるとは考えにくい。