【4月26日 AFP】健康不安説が取り沙汰されている北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の専用と思われる列車が北朝鮮東部の保養地に停車していたことが、米シンクタンクによる衛星写真の分析で確認された。

 米国の北朝鮮分析サイト「38ノース(38 North)」が25日に報じたところによると、今月21日から23日にかけて、北朝鮮東岸の元山(Wonsan)にある金一家専用の駅にこの列車が止まっていた。

 同サイトは、列車の存在は「北朝鮮最高指導者の所在を証明するものでも、彼の健康状態を示唆するものでもない」と断りつつ、「金氏が同国東岸にあるエリート層専用の地域に滞在しているとの報道に説得力を与える」ものではあるとしている。

 今月15日は、金氏の祖父であり、北朝鮮建国の父とされる故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席の生誕日で、同国の政治日程の中でも最も重要な日とされる「太陽節」だった。しかし金氏はこの太陽節の式典に姿を見せていなかったことから、健康状態に関する臆測が広まっていた。

 金氏が最後に公の場に姿を見せたのは今月11日、朝鮮労働党の政治局会合で議長を務めた時だったとされる。また翌12日には国営メディアが、同氏が防空部隊の戦闘機訓練を視察したと伝えていた。

 脱北者らが中心となって運営している韓国の北朝鮮情勢サイト「デイリーNK(Daily NK)」は、金氏は今月に入って心臓血管系の手術を受け、平安北道(North Phyongan Province)の別荘で療養中だと報じていた。同メディアは北朝鮮国内の匿名筋の話として、金氏は「過剰な喫煙と肥満、そして疲労」が原因で、緊急治療が必要となったと伝えた。

 韓国SBS放送は23日、政権筋の匿名情報として、金氏は少なくとも4日間にわたって元山に滞在していたとみられるが、間もなく公の場に姿を現すだろうと報じた。

 金氏は2014年に6週間近く公の場に姿を見せず、その後、再び現れた際にはつえをついていた。このときは数日後に韓国の情報機関が、金氏が足首の嚢胞(のうほう)摘出手術を受けていたと発表した。(c)AFP