【4月28日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のレジェンド、マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏の最新ドキュメンタリー番組が、本来なら今ごろはプレーオフを観戦していたはずが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)でその楽しみを奪われたファンの間で大ヒットとなっている。

 1990年代のシカゴ・ブルズ(Chicago Bulls)で通算6度のNBAファイナル制覇を成し遂げたジョーダン氏のキャリアを詳細に描いたドキュメンタリーシリーズ「ラストダンス(The Last Dance)」は、全10話から構成され、その第3話と第4話が26日に放送された。新型コロナウイルスの大流行でシーズンが中断して以降、18歳から34歳までの年齢層で最も視聴された米スポーツ専門チャンネルESPNの番組となった。

 米国ではこれまでに約610万人が第1話と第2話を視聴し、ツイッター(Twitter)ではトレンドのトップになったほか、ESPNでは16年前に制作を開始して以降では最も視聴されたオリジナル番組となった。また、26日に放送された二つのエピソードは平均590万人が視聴した。

 番組では密着カメラによる未公開映像などを織り交ぜながら、ブルズの1997-98シーズンが記録されており、若手時代から1990年代にブルズで通算6度のNBA制覇を経験するまでのジョーダン氏の驚くべきストーリーが再び語られている。

■抱き続けている憎しみ

 EPSNではエピソードがオンエアされた後、内容に関するトーク番組が放送されている。最新話では、デトロイト・ピストンズ(Detroit Pistons)に対するジョーダン氏の消え去ることのない憎悪が描かれており、27日には元ピストンズのスター選手であるアイザイア・トーマス(Isiah Thomas)氏のインタビューが紹介された。

 特に注目されたのは、1991年のプレーオフでブルズにシリーズ全敗を喫した後、前回王者ピストンズの選手が試合後の握手をしなかったことについてで、第4話ではジョーダン氏が「彼らが大嫌いだった」「その憎しみは今でも抱き続けている」と語っていた。

 1992年バルセロナ五輪の男子バスケットボールで金メダルに輝いた米国の「ドリームチーム」のメンバーに選ばれなかったトーマス氏は、あのとき握手をしなかったことが、ジョーダン氏を筆頭にスター選手が勢ぞろいした歴史的チームに入れなかった理由ではなかったと思いたいと話した。

「私がドリームチームに入れなかったのは、あのときの誤った感情や誰かと握手をしなかったことだとすれば、自分が選出されなかった当時よりも、もっと今のほうが残念に思う」「私は大きな代償を支払った。あのときのことが理由で、ドリームチームに選ばれなかったというのなら傷つく。かなりの深手だ」 (c)AFP