【4月27日 AFP】エルサルバドルの刑務所で26日、受刑者らを犯罪グループごとに分けて収監する数年来の措置が廃止され、敵対関係にあるギャングの受刑者らが一緒に収監された。複数の当局者が明らかにした。

 同国のオシリス・ルナ(Osiris Luna)法務・治安副大臣はツイッター(Twitter)に、国内すべての刑務所で「われわれは今日、同じギャング組織のメンバーを同じ監房に集めるのをやめ、すべてのテロリストグループを一緒にして収監した」と投稿。

 犯罪グループによる街中での組織的な殺人事件が多発する同国では、敵対する犯罪グループのメンバー間の抗争を避けるため、2002年から刑務所内で分離する措置が取られていた。

 NGOのエルサルバドル人権委員会(CDHES)でコーディネーターを務めるミゲル・モンテネグロ(Miguel Montenegro)氏は、異なるギャングメンバーらを集めるという決定は、「暴動や標的を定めた殺人、大量殺人のリスクを伴う」と指摘。いつでも「爆発」し得る「時限爆弾」と評して警鐘を鳴らした。

 エルサルバドルでは24~26日の週末に、ギャングらにより約50人が殺害されている。

 同国のナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領は26日、ツイッターに「ギャングたちは、わが国の公安組織ほぼすべてが(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的な大流行)を抑えようと動いている事態を利用している」と投稿。前日の25日には、受刑者から刑務所外のメンバーに犯罪の指示が出されるのを阻止するため、全ての刑事施設で最大級の厳戒態勢を敷くよう命じていた。

 人口660万人のエルサルバドルは、戦争を除いた暴力沙汰が世界で最も多発している国の一つ。2019年における住民10万人当たりの殺人発生率は35.6件で、その大半は、ギャングの活動が招いたものだった。(c)AFP